論文が出版されました

研究成果

共同研究の成果がJapanese Journal of Applied Physics誌に掲載されました。

本研究では、グラフェンにカリウム(K)を添加することで、電気の流れやすさ(キャリア移動度)や電気の担い手(キャリア密度)がどのように変化するかを調べました。K濃度の異なる2種類の水酸化カリウム(KOH)水溶液を用いてグラフェンを処理し、その後、放射光を用いたX線光電子分光、ラマン分光法、ホール効果測定などにより特性評価を行いました。その結果、Kを少量加えたグラフェンでは、正孔(ホール)から電子へのキャリアの変換が起こり、最も高いキャリア移動度が得られました。これは、K原子から供給された電子がもともと存在していた正孔を打ち消し、効率的な電子の流れを実現したためです。
一方、Kを過剰に添加すると、K原子が電子の流れを邪魔する「散乱源」として働き、キャリア移動度やキャリア密度(単位面積あたりの電子や正孔の数)が低下することがわかりました。

※ キャリア密度:材料中を移動する電子や正孔の量を表す指標で、電気伝導のしやすさに影響します。
※ ホール効果測定:材料に磁場をかけて電流を流したときに現れる電圧(ホール電圧)を測定し、キャリアの種類(電子か正孔か)や密度、移動度を調べる実験手法です。

論文情報
題目:Effect of potassium doping on the electrical properties of stacked graphene layers
著者: Takatoshi Yamada, Shuichi Ogawa, Akitaka Yoshigoe, Yasutaka Tsuda, Tomoaki Masuzawa, Mitsuhiro Okada, Kazufumi Kobashi, Yuki Okigawa
雑誌:Jpn. J. Appl. Phys., Vol. 64, 07SP17/1-5 (2025).
DOI:https://doi.org/10.35848/1347-4065/aded98